6月 4, 2018

フォグとエッジ: IoT/5Gのエコシステムにおいて、フォグがエッジの機能を拡張する10の領域


OpenFogコンソーシアム

IoT、5G、組み込みAIの実現に必要なアーキテクチャーとしてのフォグ・コンピューティングの役割は明確になりつつありますが、フォグとエッジの間にはどのような関係があるのでしょうか。結論から言えば、フォグとエッジは相乗効果を生み出すのです。


OpenFogコンソーシアムでは、フォグ・コンピューティングをクラウドからモノまでの「連続体」における橋渡しのしくみと定義しています。この連続体は、フォグ・コンピューティングがクラウドからモノまでを覆い、モノとクラウドとの間にあるコンピューティングの隙間を埋めることで形成されています。フォグは、クラウドへのデータ伝送と、ローカル(エッジ)でのデータ分析の間に欠けていたつながりを実現しているのです。ITやIoTを食べ物に例えるなら、フォグとエッジの関係は、果実とリンゴの関係に当たります。

、機能性と効率性に優れたIoT/5Gアーキテクチャーを設計し、高い生産性を実現させるためには、フォグとエッジの関係を、その重複する部分も含めて明確に理解しておく必要があります。こうした観点から、フォグ・アーキテクチャーがエッジ機能をどのように強化・拡張するのかについて、以下に10の要素を紹介します。

1. 演算処理の分散とロード・バランシング
エッジ・アーキテクチャーの多くは、サーバー、アプリケーションまたは小規模のクラウドをエッジで使用する方法を採用しています。フォグを活用すれば、より広範なシステム階層にわたるアーキテクチャーを構築でき、ネットワーク全体でのリソースとサービスの分散、調整、管理、保護が可能になります。これにより、コンピューティング、ネットワーキング、ストレージといった機能の高度化とバランスが実現され、あらゆるノードでの異種混合環境がサポートされます(たとえば、演算用のCPU、GPU、FPGA、DSB)。

2. 階層型ネットワーキング
エッジは通常、ネットワーク・エッジに配置された特定のネットワーク・リソース(エッジ・ゲートウェイ、ルーター、スイッチ、免許が必要な周波数帯の無線ネットワークなど)に合わせて最適化されます。フォグは、相互に連携するノードの物理/論理ネットワーク階層を幅広くサポートし、アプリケーションの分散もサポートします。フォグのノードは、垂直、水平、斜めといった多様な方向への接続やエッジとクラウド間のインターフェース接続などによってエッジを拡張します。こうした拡張の例として、上下のノード階層間での分散処理を伴う分析アルゴリズム、巨大なピアグループのプロセッサーで同時に実行される大規模並列アプリケーション、高度に分散されたストレージシステムなどが挙げられます。

3. オーケストレーションと管理の汎用性
エッジのオーケストレーションと管理は、特定のキャリアに依存したモバイル・ネットワーク・オーケストレーションなど、従来型の垂直統合手法に従って実施されている場合があります。このようなエッジでクラウドの機能を提供することは可能ですが、エッジノードを接続するためのオーケストレーションは実現できません。フォグのオーケストレーションおよび管理は、より汎用的かつ先進的な自動化を目標として設計されています。フォグ・オーケストレーションは、リソース・プーリングを実現することで、同じ階層や異なる階層でのフォグノード間の通信と連携を可能にし、パフォーマンス、フォールトトレランス、負荷分散、ロード・バランシングに効果を発揮します。フォグのネットワーク管理では、各フォグノードの分散サービス・オーケストレーション層を通じたライフサイクル管理が考慮されます。フォグ・アーキテクチャーでは、IT(情報技術)、OT(運用技術)、CT(通信技術)による多様なアプローチが本質的に有効に機能します。

4. 複数のアクセスモードを備えたモジュラー・アーキテクチャー
エッジは、通常、機能が固定されたゲートウェイを基盤として展開されます。エッジのアーキテクチャーでは、無線または有線による特定のアクセス・ネットワークを好んで採用します。フォグは高度なモジュール方式のハードウェア・アーキテクチャーとソフトウェア・アーキテクチャーを備えているため、あらゆるフォグノードにアプリケーション向けのリソースを的確に実装し、動的に構成することができます。フォグでは、要免許/免許不要の周波数帯を利用でき、有線接続も銅線/光ファイバーどちらも可能です。


エッジとフォグのアーキテクチャーを並べて示します。エッジはロジックの配置が固定された特定のアプリケーションを実行し、データ分析を伴わない直接伝送サービスを提供します。フォグは、ハードウェア機能とソフトウェア機能を切り離すことで、メッシュ状の多層アーキテクチャーとしてエッジと連携し、アプリケーションを実行します。クラウドからモノに至る連続体の全域にわたって、コンピューティング/ストレージ/通信機能を備えた高度な伝送サービスを提供し、さまざまなアプリケーションに応じて柔軟に構成、再構成できます。

5. 信頼性と回復力
フォグ・アーキテクチャーは設計上、高い信頼性を備えており、多くのフォールトトレランス機能、ネットワーク回復機能、完全自律型の緊急稼働をサポートしています。エッジの場合は、デバイスの停止がサービス自体の停止を引き起こすケースが少なくありません。

6. セキュリティーとプライバシー
垂直アプリケーション依存統合やマルチベンダー環境といった性質上、エッジが提供するセキュリティー保護機能にはばらつきが見られる場合があります。一方、フォグでは、すべてのフォグノードにおいて、安全なハードウェア、またはハードウェアベースのセキュリティー・メカニズムを採用し、基幹系システムに必須とされる通信/演算セキュリティーの保護を行うことで、堅牢なトラステッド・コンピューティング・ベースを実装することが求められます。また、サービスドメイン内のフォグノードにトラステッド・エグゼキューション環境をインスタンス化し、一貫した情報セキュリティー・ポリシーとプライバシー・ポリシーを適用する分散型のトラステッド・コンピューティング・プラットフォームを形成することも必須になります。この分散型プラットフォームを採用することで、リソースに制約のあるデバイスに対してもオンデマンドのセキュリティー・サービスを実現しつつ、信頼性の高い情報処理、ストレージ、データ伝送をデバイスから、フォグ、クラウドの全域にわたって提供することができます。

7. 仮想化のサポート
フォグは、仮想化をサポートし、エンタープライズやWebスケールのモデルを採用しています。これにより、ノードレベルでのハードウェアの仮想化を実現し、あるノードに停止または過負荷が発生した場合に、ワークロードを隣接するノードに移動させることができます。エッジ・コンピューティングの仮想化は、ローカル環境におけるサーバー単位のコンピューティング・リソース分散といった場面に限定されます。

8. ワークロードの俊敏性
エッジ・アーキテクチャーは、パフォーマンス要件が厳しい環境や大きな変化を伴う環境に俊敏に対応できない場合があります。フォグは、すべての特定業界のアプリケーションに加えて、複数の業界や複数の業界の中間に位置するアプリケーションにも対応可能な、水平プラットフォームとして設計されています。そのため、フォグは設計上の俊敏性が高く、アプリケーションごとのパフォーマンス特性をニーズに合わせて調整することができます。アプリケーションのワークロードを上下の階層にも分散し、要件に合わせて的確に並列処理をスケーリングできるため、必要以上にリソースを消費することもなくなります。

9. アプリケーションに応じた規模の適正化とスケーラビリティー
フォグノードとフォグ・ネットワークは、エッジノードに比べ、より正確にアプリケーションに合わせて規模を適正化することができます。適正化された環境とは、通常、必要最低限の要素だけを備えたクラウド・サーバーを指します。エッジデバイスを拡張する場合は、指定の場所にさらに多くのコンピューティング・リソースが追加されますが、これがミニクラウドのような環境となり、何百万のモノをサポートするためのネットワーク拡張を行う際には問題になりかねません。フォグでは、コンピューティング、ネットワーキング、ストレージの処理を上下の階層、同じ階層のピアノード間、またはクラウドとフォグ間で機動的に移動させることができます。また、フォグは高いスケーラビリティーを実現するリソース・プーリングにも対応しています。リソース・プーリングは、環境、消費電力、規模、重量などの制約があるIoTアプリケーションにおいて、エッジ機能の拡張を支援します。

10. モバイルIoTアプリケーションのサポート
フォグは、モバイルIoTの構成要素とアプリケーションを強力にサポートします。モバイル・フォグノードは、自動車、ドローン、歩行者、家畜や、さまざまな種類の携帯機器、センサーに適用できます。フォグノードは、移動体のデバイス上で演算や通信を行います。インフラストラクチャー・フォグノードは、ネットワークの末端の重要な機能を提供し、深い階層にあるノードは、より中核的なネットワーク機能を提供します。フォグの階層を活用することで、システム全体でのノードのオーケストレーションが可能になり、ネットワークの深層に接続するために求められる伝送帯域幅を大幅に削減できます。一般的なエッジは、こうした多様なネットワーク構成が難しいため、リモート環境や帯域幅に制約のあるアプリケーションでの使用には限界があります。

フォグが重視される理由
エッジとフォグが相互に補完し合っているのは明らかです。明日の技術変革へ向けて、ここからはエッジとフォグの違いではなく、連携に話を移しましょう。

フォグ・アーキテクトにとっては、演算、通信、制御、ストレージといったリソースの配分を、クラウドからモノまでの連続体の中でどのような位置、タイミング、手法で効果的に行うかという点が探すべき答えです。エッジだけでなく、データが生成された場所から通信、意思決定、モニタリング、アクションが行われる場所にまで幅広く検討することを意味します。

OpenFogコンソーシアムの技術ワーキンググループは、この連続体の課題にあらゆる側面から取り組んでいます。2017年2月に公開したOpenFogリファレンス・アーキテクチャー(RA)では、フォグノードおよびネットワークのシステム・アーキテクチャーの概要と、フォグ/エッジ間コラボレーションについての洞察を提示しました。

私たちは、クラウドが備えるあらゆるアーキテクチャー上の利点を引き出し、より上位の構成要素をフォグの連続体において効果的に活用することを目標に活動しています。単なるエッジ・アーキテクチャーの実装は、ゲートウェイ製品の市場に依存し過ぎるおそれがあります。フォグ・アーキテクチャーを採用することで、もっと豊かなアーキテクチャーへの扉が開かれます。それは、ハードウェアとソフトウェアをIoTと5Gの未来へと導く可能性を秘めたアーキテクチャーなのです。

OpenFogコンソーシアムについて
OpenFogコンソーシアムは、IoT、5G、人工知能に関連する帯域幅、待ち時間、通信、セキュリティーの課題を解決する目的で、フォグ・コンピューティングの採用を加速するために結成されたグローバルな非営利団体です。オープン・スタンダード技術に基づいたクラウドからモノへの連続体において、識別可能かつ安全で、プライバシーに配慮した情報フローと組み合わせた、効率的で信頼性の高いネットワークと高度なエンドポイントのフレームワークを構築することを中心とした研究を行っています。詳細については、JapanInfo@OpenFogConsortium.orgまでお問い合わせください。